コピルアックブロク画像

コピルアック(コピルアク) インドネシアのカレー

2013.1.30

先日相棒のイカサンと話していた際、コピルアックの精製所があるPati(結構いなか)でついに日本食レストランがオープンするとの話がありました。


Patiにある外国料理は中華料理のみでしたが、イタリア料理やハンバーガーショップに先駆けて日本料理店がオープンするとは!! 何とも光栄なことであります。


実はこのレストラン、イカサンの友人が経営する予定でイカサンのワイフが一部の料理をこのレストランに提供することになりました。といいますのも、彼女の料理の腕前は彼らの仲間内では広く知られており、また友人に日本人がいる関係上(つまり私のことなのですが)彼女なら料理のレシピ作りも助けてくれるだろうということで、彼女は仲間内の期待を一身に集めているのであります。


そんなこともあり、最近はイカサンやワイフから料理に関する質問が頻繁に来るようになったのです。彼らは私がその名前の由来の通り、料理が上手であると本気で思い込んでいるらしく、かなり細かいことまで聞いてきます。「インドネシア版玉ねぎと日本のそれはどのように味が違うのか?」、「味噌スープを作りたいが、インドネシアで代わりになりそうなものはないか?」etc….。


Kokiとは私の名前ですが、これはインドネシア語で「コック」を意味します。彼らが「ねえKoki」といえば「ねえ、コック」の意味。ちょうど都合の良い勘違いが出来るわけです。


また、イカサンとワイフと私には日本料理に関する因縁が一つあり、そのため今回の関しては少しムキになっている様子も見受けられます。


実は私がインドネシアで起業した初期の頃、PatiにあるSMU(Sekola Menengah Umum=高校)の校長先生から校内で日本食のWarung(屋台)を出したいので一緒にやらないか?と言われたことがありました。このSMUはイカサンとワイフの出身校であり、彼らがこの校長先生と私の仲介役でした。

 

 ちなみにインドネシアの中高生というのはこんな感じの制服を着ています。こちらのWebから拝借いたしました。

 

インドネシアの中高生は昼食を学内もしくは学校近所のWarungで済ませるのが一般的で、それなりの数のWarungが校内外にあるため、あえて日本食Warungを出すことも無かったのですが、どうやら父兄向けに「日本食が学内にある」というのを生徒募集の目玉の一つにしたいという意図があったようです。


インドネシアは親日国として知られており、田舎のPatiにいてもそう感じることはしばしばあります。私の風貌は明らかに外国人ですが、街の商店街で買い物をしている時に私が日本人であるとわかると気さくに話しかけてくれる人もいます。


そのような状況にありましたので、私も校長先生のその申し出にはかなり前のめりになり、イカサンと一緒に作戦を練ることにしました。


「インドネシア人に受けそうな日本食は何か?」 「高校生は言わずもがな彼らのご父兄をも魅了する日本が世界に誇る素晴らしい食べ物」、「あわよくばPatiでレストランを経営できるくらいの規模まで持ってゆくべし!!」


この手の話をするとイカサンも私も妄想が膨らみ止まらなくなるのです・・・・。


さて、そんなこんな話をしている中で私とイカサンが出した結論は「カレーライス」でした。日本にはキラ星のごとくカレー屋があり、そのどれもが美味しく、カレーが嫌いな日本人はめったにいない。レトルトのカレーもあるぞ、と彼に説明すると、「それはすごい!!」と一発で乗り気になったのであります。


ところでこのカレーですが、インドネシアではメジャーな食べ物ではありません。“ジャワカレー”という言葉は日本ではよく知られているカレーです。しかしジャワ島のど真ん中、しかもそのまた真ん中らへんのPatiで“ジャワカレー”と言っても誰も何も反応しないでしょう。


仮に「“本州煮込み”って知ってるか?」と聞かれても日本人なら「????」と思うのと同じです。つまり、“カレー”という食べ物はあるにはあり、インドネシア人に「カレーを知っているか?」と聞けばたいがい「ああ知っている」とは言うでしょう。しかしそれはさほどメジャーな食べ物ではないばかりではなく、人によってカレーの定義が違ってくるようです。


イカサン自身も“カレー”を明確に「これだ!!」と指摘することは出来ず、インドネシアのカレーを説明する際も「この間お婆さんがKokiにあげた“Sop Tempe(テンペスープ)”、あれがカレーだよ」とかなりあいまいです。


私がお婆さんからもらったSop Tempeです。


つまりインドネシアでは日本にあるあのジャワカレーのようなカレーは存在しないわけで、市場としては全くの手つかずという状態です。この広大なインドネシアの中でまだ手つかずのマーケットがあったとは!! もちろんイカサンもまだ見ぬ日本のカレーがものすごい可能性を秘めている商品であると気付いたようです。


またとないビジネスチャンス到来!!


「カレーは“Ramen”みたいに麺があるの?」「辛い“Sushi”?」という矢継ぎ早に質問をするイカサンを遮りました。


「違うんだ、イカサン。カレーというのは・・・・」。


もう味の説明は必要ありませんでした。イカサンの興味は日本のカレーではありません。すでに私もイカサンもPatiにある名もないSMUのWarungからスタートし、Patiはおろか中部ジャワの州都スマラン、そしてバンドゥン、ジャカルタとインドネシアをカレーで制覇する成功物語の妄想で頭が一杯だったのであります。


「来年、子供が生まれるんだ」。イカサンがつぶやきました。


「日本じゃ子供が生まれたらカレーを近所にふるまう習慣があるんだよ」。私のデタラメにイカサンは全く反応しませんでした。自分のことを考えるのに精いっぱい集中していたからです。


カレー屋の名前は何にしよう・・・。“Koki’s Koki Curry(コーキのシェフカレー)・・・・”。インドネシア人にウケそうな素晴らしいネーミングを思いついたものだと自画自賛してみました。そしてもう意志の力では口角が上がるのを止めることが出来ませんでした。


次号へ続きます。


これはカレーではなく、Patiのご当地グルメNasi Gandul(ナシ・ガンドゥール)です。この食べ物はインドネシアでは比較的有名です。味の表現は難しく、日本にはない味です。私もPatiのみんなも大好物です。


Sampai Jumpa Lagi,
Koki