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コピルアック 秘密のビジネス その4

2014.8.24

日本で何かを購入する場合、多くの人はスーパーマーケットやコンビニを利用するでしょう。また、仮にスーパーには置いていない商品、例えば高級なワインや有名パティシエのお菓子、ブランドもののバッグなどが欲しい場合には百貨店に行くことになります。

 

普通のコーヒーでしたらもちろんスーパーやコンビニに置いてありますが、コピルアックはもちろん置いてありません。百貨店でも置いてあるところは珍しく、もし購入されたい場合には、自社店舗を持っているコーヒー屋さん、もしくはKoki’s Kopi Luwakのようにインターネットで商品を見つけていただくことになります。

 

これはインドネシアでも同じ状況で、一般市民が利用するPasar(パサール)にはコピルアックは置いてありません。コピルアック専門の喫茶店か、空港のお土産店、ジャカルタやスラバヤなど大都市のショッピングモールで購入することが出来ます。

 

ただし、日本でコピルアックを見かける頻度とインドネシアでのそれを比較すると、圧倒的にインドネシアで見かける回数、置いてある店舗は多いでしょう。なぜなら、「外国人相手のお土産」というマーケットが存在するため、どこかお土産を目当てに外国人が立ち寄るお店であれば需要はかなりあります。例えばバリ島などではもう既にお土産の定番となっているという話も聞きます。

 

高額商品の為、店側としても品ぞろえとしては置いておきたいものになるはずです。とはいうものの、インドネシア国内にはコピルアックの供給者は多く、また、もう既にそういったお土産店というのは独自の仕入れルートがあるためなかなか新しく参入した供給者から購入するということはありません。

 

値段を安くすればそういったお店は購入してくれるのではないか?と思われるでしょうが、コピルアックという商品は値段を安くすれば「偽物ではないか??」と疑われてしまう為、反対に売れません。供給者が小売店に「値段を安くするからウチから買ってくれないか?」と安易に近ければ彼らは用心して購入することは無いでしょう。

 

さて、話は前回のブログに戻ります。いきなり1トンものコピルアックを精製したA氏の話です。村人を集め従業員を使い、多くの豆を精製している作業風景は壮観でした。「作れば売れる」という彼の話はあながち外れていないようでした。

 

ここで少しコピルアックが出来上がるまでのビジネスを説明いたしますと、このような感じになります。

 

まず、ジャコウネコの飼育業者はコーヒーの赤い実を餌としてジャコウネコに与えるわけなのですが、コーヒーの赤い実は近隣の農家から毎日少しずつ購入します。コーヒーの赤い実というのは保存がきかず、収穫から10時間も経てば固くなってきてしまいます。ジャコウネコは赤く熟した実以外は食べない為、毎日少量を農家から購入するしかないのです。

 

また、エサを与え、ジャコウネコのフンを精製するのは従業員で、彼らは月給制で働いています。従業員が足りない場合には近隣の村人に作業を手伝ってもらうことになりますが、これも月末に一括してしはらうというシステムです。

 

コピルアックを販売する先と、ジャコウネコの飼育業者との支払い方式はまちまちなのですが、私の場合には半金を手付金として支払い、残金は現物を確認後支払うという内容でした。ここは供給者と買い手との話し合いで決まりますが、おおよそ上記のような取り決めが一般的ではないかと思います。

 

さて、このA氏。どこからどうやって1トンもの受注をしたのか分かりませんが、どうやらジャカルタで買い手がついたようで、ある日ジャカルタに豆を持って行きました。彼の村があるJeparaからジャカルタまでは車で約14時間。仮に数日不在であれば何ら問題にはなりませんが、数週間たっても村に帰ってきません。

 

従業員たちもさすがに心配し始めました。もしかして・・・・・。

 

ところでインドネシアではちょっと変わった風潮があります。それは、「お金はある時払いで構わない」というものです。金の支払いは結構ゆるく、給料もアルバイト代も月末に支払われなくても「まあそのうち支払ってくれるだろう」となあなあで支払い遅延を許容してしまうのです。

 

これは一般のビジネスでの関係でもいえることで、支払いは非常にルーズです。支払いが遅れるということに対しては日本でしたら信用問題にかかわるため、絶対に許されません。仮にこれをやってしまうと次の仕入れがストップしてしまい、ビジネスが成り立たなくなります。ところがインドネシアではこれを許してしまうのです。

 

彼は私との取引で得たお金を利用して、自分の名誉欲を満足させました。彼はいわゆる「セルフブランディング」に長けていたため、村の多くの人が彼のことを信用し支払い遅延にも目をつむっていたわけです。

 

さて、一カ月近く彼と連絡がつかず、彼からも連絡が無いとなるとさすがに「騙された」ことは決定的となります。彼はコーヒー農家への支払いもツケで買っていましたし、従業員の給料も村人のアルバイト代も踏み倒して遁走してしまったわけです。

 

後から従業員に話を聞いたところによると、A氏から「1トン受注したから大至急でコピルアックの精製をするように」といわれ、従業員、コーヒー農家、村人たちが舞い上がってしまい、給料のことなどそっちのけで彼を盲目的に信用してしまい、まさかこんな事態になるとは思わなかったということでした。

 

ちなみに、1トンの精製をする前から彼はこういった給料やコーヒー豆の支払い遅延を興しており、だいぶ支払いがたまっていたようです。「1トンの受注」という大きな花火を打ち上げれば、みんな「今までの遅延分が帰ってくるし、加えて大金持ちになれる」と思わざるを得なかったはずです。

 

A氏は人の心理を良くわかっていてそれを利用するのがうまいと思います。そして、プチ権力を得てしまった彼は、受注が出来ないのを「格好悪い」と思っていたのではないかと思います。一度権力を得てしまうと、それを失うことは権力を持つ前の状態よりもさらに悪い状態になります。そのため、こんな嘘をつくしかなかったのではないでしょうか。

 

インドネシアにも限らず日本にもこういう輩は確かにいます。

 

A氏の件を教訓にKeletの集落では以後、前金で全額支払いをしない限りは一切コピルアックを販売しないという方針になりました。もちろん私も彼らとは比較的古い関係ではありますが、私でさえも容赦はしません。「現金で前金ではないと絶対に売らない」。

 

今もその取引条件は頑なに守られています。

 

 

ジャカルタから西へ車で2時間ほど行くとBogor(ボゴール)という都市があります。インドネシアでは比較的大きな都市で、涼しい気候と多雨が有名です。A氏、実はこのBogorに潜伏中という噂なのですが、これだけ人が多いと探し出すのは無理でしょう・・・・。写真はBogorの朝の通勤ラッシュの風景です。

 

Sampai Jumpa Lagi,

Koki