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フェアトレードとは程遠い中部ジャワのコーヒー生産 その3

2014.6.22

ところでふと思ったのが、日本語で「Marketing(マーケティング)」という単語は「販促活動」というように訳されることが多いのですが、マーケティングの意味を表すのに、「販促活動」ではあまりにも狭い範囲しか表していないと思います。

 

良い製品を作れば飛ぶように売れた時代というのはもうとっくに終わり、今ではマーケティング活動の重要性のほうが商品そのものの質よりも高くなっているのではないでしょうか。

 

例えば、九州にいる親戚がしばしば辛子明太子を送ってくれることがあります。さすがに本場だけあってとてもおいしいのですが、まったくといっていいほど無名で、自社サイトはかなり古いものです。おそらく地元の人々が主に利用する店で、九州以外に進出しようとする意欲はあまり感じることが出来ません。

 

ところが一方では関東の百貨店ではどこでも見かける、超有名な辛子明太子の会社もあります。この会社の辛子明太子は確かに美味しいのですが、先に挙げました明太子の会社と比較すれば味の違いは一目瞭然で、圧倒的に無名の明太子会社のほうに軍配が上がります。

 

しかしながら売り上げは有名店のほうがおそらく何十倍も多いはずです。知名度も比較にはならないでしょう。

 

これはひとえにマーケティングが成功しているかどうかの違いによるものに他ならず、明太子の世界ではこの有名な企業が市場を制しているので、それ以外の会社の作る明太子がどんなに美味しくても世に出てくる可能性は極めて低いと言っても良いでしょう。

 

さて、先般のインドネシアのコーヒーの業界についての話に戻ります。第三セクターが農家のコメを買い上げるという話をいたしましたが、この第三セクターはつまり、上記の例に例えるとマーケティングで成功している明太子メーカーの位置づけです。本来各コーヒー農家がコーヒーの売り先を見つけることが出来ればいいのですが、もう既に第三セクターが市場を制してしまっている以上、個別の農家にできることは何もありません。

 

それをいいことに第三セクターはますますコーヒー農家から安くコーヒーを買い上げるという絶好のスパイラルを自分のものにしています。

 

さて、ここで登場するのが「仲買人」といわれる人々で、第三セクターと各農家との間に入り価格交渉を行います。価格交渉といっても仲買人が一方的に「今年のコーヒー豆の買い上げ価格は1キロ当たり○○ルピア」と告げるだけなのですが、この仲買人が暴利をむさぼっているのではないか?という疑惑も出てきます。いわゆるフェアトレードとは真逆のことが当たり前のように行われているわけです。もっとも、こういった状況が無ければフェアトレードという言葉も生まれなかったでしょうし、「フェアトレード」という言葉もある意味ではマーケティングの為にできたという側面もあるはずなので、暴利をむさぼる仲買人がいて、はじめてフェアトレードという言葉も生きてくるという、皮肉な現状も浮き彫りになります。

 

いずれにいたしましても、確かにコーヒー農家というのは専業では生活が成り立たない為、Koki’s Kopi Luwakの拠点があります中部ジャワのPatiから一番近いコーヒーの森があるJolong(ジョロン)で暮らす農家の人々はたいてい収穫期から外れると出稼ぎに出るケースが多いようですし、普段は食用の牛や羊を飼育し、市場で販売して生活の糧を得ています。

 

実はコピルアックのジャコウネコを飼育しているKeletからほど近いコーヒー農家では、「マンデリン」や「トラジャ」のようなブランドを作る動きもあったようなのですが、これはマーケティングの見地からするとあまりに大変な作業でお金もかかるため断念したという話を聞いたことがあります。

 

本当は日本にコーヒーの売り先が確保できていて、コーヒー作りに精通したプロがJolongのような村に入り込み高品質なコーヒーを作るための栽培の方法を教えつつ、日本に適正価格で輸出できるようになれば、まさにフェアトレードのお手本のような話になるのでしょうが、残念ながらそれはまだだいぶ先の話になりそうです・・・・。

 

Muria山から麓に流れる川はたいそうきれいで、標高の低い地域でもまだ濁りはほとんどありません。夕暮れ間近の山と川を激写しました。

 

Sampai Jumpa Lagi,

Koki