コピルアックブロク画像

フェアトレードとは程遠い中部ジャワのコーヒー生産 その1

2014.6.15

最近インターネット上の記事で「神奈川県のある化粧品会社が東北のフカヒレ漁に反対するキャンペーン」を行い、この反対キャンペーンを批判する記事を読みました。

 

フカヒレ漁と化粧品会社?? と不思議に思う方もいらっしゃるかと思いますが、これは一種のマーケティングの方法で、企業の知名度を上げる、多くの賛同を得てファンを増やすといった役割を果たします。このキャンペーンがいいか悪いかはさておき、自分で事業を行っているとこういったマーケティングの重要性というのは身に染みて分かります。

 

実際のところ、インターネットで記事を読むまでは、この化粧品会社の名前など聞いたことが無く、「ああ、神奈川県にそんな会社があるのか・・・・」と私は初めて知ったのですが、このキャンペーンを打つことによって最低でも一人(つまり私)がこの会社を知ったことになるわけです。

 

今回は「○○に反対する会社」というマーケティング手法でこの化粧品会社は認知度を上げようとしたわけですが、そのほかにもいろいろなマーケティングの手法はあります。例えば「売り上げの一部を海外の後進国の学校に寄付します」や「青少年の健全な育成を応援しています」といった類のものです。

 

さて、おそらくこの手のマーケティングで最もメジャーなのは「オーガニック認証」ではないかと思います。ご存じの通り無農薬、有機栽培である食品に与えられる認証で第三者の認証機関が承認する必要があり、もちろんその食品が健康に害を及ぼす可能性は極めて低いという実利をPRする目的は当然あるものの、やはり「認証を取得している」というマーケティングの手法であることは否めないかと思います。

 

もちろん私自身はこういったことを否定するつもりはありませんし、もし何らかの実利があるマーケティングでしたらどんどん取り入れてみたいと思っています。

 

ところで、このオーガニック認証と同じく最近よく耳にするのが「フェアトレード」です。例えばコーヒー豆やチョコレートの原料になるカカオ豆などは生産者が低賃金でかなりの重労働を強いられて供給したものを、仲買人や商社が買いたたき、それをかなり割高な価格で需要家に販売している現実があります。フェアトレードとはこういった現実を改善し、なるべく多くの利益を生産者にもたらそうというものでして、取り組みとしては価値があるのではないかと思います。

 

以前、コーヒー業界のある方からインドネシアのコーヒー業界でもフェアトレードの動きが出てきているという話を聞いたことがあります。

 

ご存じの通りインドネシアはコーヒー豆の一大供給国ですが、全体の品質は落ちると言われています。もちろんマンデリンやトラジャなどメジャーな豆のグレードは世界的にも認められていますが、やはり粗悪な豆というのは存在します。

 

ところがこういった、一見粗悪といわれる豆でも生産者が農園の手入れをし、きちんと管理をすればある程度の品質まで持って行くことが出来ます。当然その豆は今までの豆よりも高く販売することが可能な為、生産者の利益にもなるという仕組みです。

 

この活動はつまり生産者に「より良い商品を作りましょう」「そうすれば高値で市場は受け入れますよ」「結果としてあなた方の生活が豊かになります」という啓蒙活動を行うことから始めるわけで、実際にインドネシアのある地域ではコーヒーの生産に精通した日本人が全く無名の地域に入り込み、生産者のモチベーションを上げ、高いグレードの豆を生産し、市場に供給しているという話をききました。

 

素晴らしい活動です。

 

ところがです。私のいる中部ジャワではその真逆のことがいまだに平然と行われています。もともとインドネシアにはコーヒーというのは存在しませんでしたが、オランダが植民地政策の一環としてコーヒー豆を300年ほど前に持ち込み、輸出用のコモディティーとして育成した産業です。砂糖なども輸出用産業としてかなり力を入れていました。

 

この植民地政策とはつまりプランテーションといわれるもので、例えば今までは稲作生産をしていたものを強制的にコーヒー作りに転換させ、ただ同然の価格でオランダ東インド会社が買い取り、それを欧州各地で売りさばいていたわけです。

 

この弊害はいくつもありますが、もっとも大きな禍は「飢饉」であると言われています。例えばコピルアックの生豆が採れる中部ジャワのKelet地区を訪れると分かりますが、山間部には田んぼが広がり、コーヒーの森も見ることが出来ます。ところが、仮にこの田んぼを全て潰してしまいコーヒーの木やサトウキビを植えてしまえば、主食であるコメの生産はなくなり、輸出用のコーヒーだけが残るわけです。

 

もちろん全ての田んぼをつぶしたわけではありませんが、こういったことを行った場合、もし天候不順で稲作の生産量が減少してしまえば、国民は一挙に飢えます。実際にオランダ統治下では何度も飢饉が発生し、多くの死者が出ました。

 

今ではさすがに強制労働はありませんし、もうオランダがインドネシアに何等か介入することは当然一切ありませんが、コーヒーを安く買いたたくという風習はまだまだ残っています。

 

例えば私たちが暮らす、中部ジャワ州のPatiから最も近いコーヒーの生産地でありますJolongです。

 

話が長くなりそうなので次回へ持ち越したいと思います。

 

 

 

コーヒーの木のそばに大きな木がありました。この木は何の木か聞いてみると、胡椒の木ということでした。緑の小さな実がコーヒーの木のそばでたわわに実っておりました。

 

Sampai Jumpa Lagi,

Koki